時々空中へ舞ひ上がつてゐる。

好きなものについて考え続け脳内迷子のパラノイア雑記

『わが半生を語る』太宰治

独歩を好きと言ってくださる方は例外なく好きです(何度も言います)。

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『わが半生を語る』太宰治.さくっと小説の方へ目がいかない我です。ついそのひとが何を思っていたのかが気になります。少ししかまだ作品を読んでいないのだけれども。いろいろ思うところが早速出てきたわね…。妄想に拍車がかかるっつの(何)。ええと、色々抜き書き。.自分の生家が金持ちであるということで、とてつもない逆コンプレックスというか厭世観を抱いて生活していたようで。「なにかいつも自分がそのために人から非難せられ、仇敵視されているような、そんな恐怖感」から他人と満足に口もきけず、常に遠慮し、はにかみ、まごまごし、「わざと最下等の生活をしてみせたり」する。外側からの評価を常に気にする。そんな評価など誰もしていないかもしれないのに。心の中でその恐怖が勝手に増幅されてゆく。.「また私の小説もただ風変わりで珍しい位に云われてきて、私はひそかに憂鬱な気持ちになっていたのです。世の中から変人とか奇人などといわれている人間は、案外気の弱い度胸のない、そういう人が自分を護るための擬装をしているのが多いのではないかと思われます。やはり生活に対して自身のなさから出ているのではないでしょうか。」この部分、もうホンマそれな感でびっくりしましたが。ものすごい自意識過剰のカタマリ。この方は典型的な内向型(自己評価がとても低い)で。当然擬装、するよね...。..キリスト教の「汝等己を愛する如く隣人を愛せよ」という教えを頑固に思いこみ「どうしてもいい家に住めない」。だが、「己を愛するが如く隣人を愛するということは、とてもやり切れるものではない」。「そういう思想はただ人を自殺にかり立てるだけのものではないでしょうか。」.「己を嫌って、或いは己を虐げて人を愛するのでは、自殺よりほかはないのが当然だということを、かすかに気がついてきましたが、然しそれはただ理屈です。自分の世の中の人に対する感情はやはりいつもはにかみで、背の丈を二寸くらい低くして歩いていなければいけないような実感をもって生きてきました。」.「私も、もう39になりますが、世間にこれから暮らしてゆくということを考えると、呆然とするだけで、まだ何の自信もありません。だから、そういういわば弱虫が、妻子を養ってゆくということは、むしろ悲惨といっていいのではないかと思うこともあります。」...さて。そんな太宰(どんな)ですが。「先輩・好きな人達」として何人かお名前を出されているのだけれど。「私がおつき合いをお願いしている先輩は井伏鱒二氏一人といっていい位」とし、「友達」の言及がほとんどなく。また、好きな作家としてチエホフ、プーシュキンなどを挙げる中、日本人作家についてはただ一人「国木田独歩」だけを挙げていて。「明治文壇では国木田独歩の短編は非常にうまいと思っております。」..いやぁどうりでなんかどっかしらこちら側だわこのひと(何)って思ったのよ。なんだろうね。この一言で太宰好き確定(おい)。そういえば芥川の龍さんも独歩のこと好きでいてくれて。独歩のことを好きと言ってくださるひとは例外なく好きです(極論)。独歩の『竹の木戸』、主人公の名は「大庭真蔵」。太宰の『人間失格』『道化の華』の主人公は「大庭葉蔵」。有島武郎の『或る女』の主人公は独歩の最初の妻である佐々城信子がモデルの「早月葉子」で。ぬぬぬぬ。いやん妄想に忙しい我。..#読書 #読書記録#books #bookstagram#太宰治#青空文庫#国木田独歩