時々空中へ舞ひ上がつてゐる。

好きなものについて考え続け脳内迷子のパラノイア雑記

『片想い百人一首』安野光雅

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『片想い百人一首』安野光雅.安野光雅さん。ちょいちょい登場していますが。あ、図書館の本です。スが幼少の頃より『旅の絵本』『もりのえほん』でお世話になり、娘(小3)は『まよいみち』『ふしぎなのり』『あいうえおみせ』『くらべてかんがえる』などでお世話になり、『大志の歌 童話の学校校歌・寮歌』を娘と二人公園で読みつつ即興適当メロディをあてまくり爆笑させていただいた方(何)。..この本は、百人一首の本歌取りをした自作の和歌百首と、それに纏わるあれこれを書いたもの。とにかく、ひとつのことが頭に思い浮かぶと、これも思い出した、そういえばこんな話もあった、と脳内を次から次へと軽やかに飛んで行く。ええ、こういう方大好物です。.本編始まる前の文章ですでにノックアウトされているわたくし。「さらのき/みなづき/かなしきひと/みずえ、などの言葉が断片となって頭の中を去来する。それはもう三十年以上も前に読んだ詩の字句だが、折りにふれてその言葉を思い浮かべ」。.またたち返る 水無月の嘆きを誰に かたるべき沙羅の瑞枝に 花咲けば悲しき人の 目ぞみゆる.この詩を頭の中でふわふわ考えていたら、「みなづきのさらのみづえやあくたがはわれてもすゑにあはんとぞおもふ」という句が唐突にできた、と。芥川龍之介の『相聞』という詩だったのだけれど。ならば、と百人一首を眺めてみて、あれこれ思い浮かんだことを本歌取りして作ってみましたよという話。もうね。..いくつか好きなものを。.「黒髪の色あせぬ間と思ひしにわが身世にふるながめせしまに」(花のいろはうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに:小野小町).森鷗外の『即興詩人』から『ゴンドラの唄』につながり、歌謡曲『大利根月夜』を連想し。小野小町の歌にはどれにもそこはかとない哀愁を感じるのだ、としている。..「月は晴れ心は闇の切り通し逢はでこの世を過ぐしてよとや」(難波潟みじかき蘆のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや:伊勢).泉鏡花『婦系図』から新派「婦系図」湯島境内の場の台詞「月は晴れてもこころは闇だ」を浮かべ。話の顛末を思い、登場人物である芸者お蔦に心を寄り添わせる。「あんなに短く、わたしには瞬間としか思えない間でも、逢わずに生きていけと言われるのですか」..本歌取りされた元の百人一首とともに、その周辺で想起された様々な歌も記されているのだけれど。清原深養父(きよはらのふかやぶ)にぐっときた我です。.「冬ながらそらより花のちりくるはくものあなたははるにやあらむ」.短歌…新たな沼…? ..#読書 #読書記録#books #bookstagram#安野光雅#百人一首#芥川龍之介#清原深養父