時々空中へ舞ひ上がつてゐる。

好きなものについて考え続け脳内迷子のパラノイア雑記

『秋の暈』織田作之助

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『秋の暈』織田作之助オダサクです。この方も夭折されてるのよね…もうホンマ勘弁してみんな元気に長生きして(何..さて。昨日所用で娘(小3)の学校へ行ったのですが。帰り一緒に帰ってきているときに、娘とほぼ同時に「金木犀の匂い!」と叫びました。というわけでこちらを思い出しまして。「あきのかさ」と読みます。随筆です。我は織田作之助を思い出すと、金木犀の香りを同時に思い出します。同時に、金木犀の香りに触れると、織田作之助を思い出します。..「秋という字の下に心をつけて、愁と読ませるのは、誰がそうしたのか、いみじくも考えたと思う。まことにもの想う人は、季節の移りかわりを敏感に感ずるなかにも、わけていわゆる秋のけはいの立ちそめるのを、ひと一倍しみじみと感ずることであろう。」.織田作もまた「秋のけはいをひとより早く感ずる方」だと自身に言及している。だが、もの想う人だからではなく、「毎夜徹夜しているから」。夜にすっと吹き込む秋の気配。急にひんやりした風を肌に感じ、風鈴の音も清くなり。「ああ、もう秋だな」。.われもこうの花、青味がちな月明かり、カンテラ。白樺の木にかかる裸電球の灯のまわりに「秋の夜明けの寂けさが、かさのように集まって」。..「極めて孤独な時期」と金木犀の香りとのリンク。雨上がりの道にいきなり広がる木犀の匂い。.「二、三日してアパートの部屋に、金木犀の一枝を生けて置いた。その匂いが私の孤独をなぐさめた。私は匂いの逃げるのを恐れて、カーテンを閉めた。しかし、その隙間から、肌寒い風が忍び込んで来た。そして私のさびしい心の中をしずかに吹き渡った。それが私を悲しませた。」.「一週間すると、金木犀の匂いが消えた。黄色い花びらが床の間にぽつりぽつりと落ちた。私はショパンの「雨だれ」などを聴くのだった。そして煙草を吸うと、冷え冷えとした空気が煙といっしょに、口のなかにはいって行った。それがなぜともなしい物悲しかった。」.床の間に落ちている金木犀の花びらと、秋の愁いと、雨だれと、煙草。.もうね。映像出てくるでしょ脳内に。ヤバイ。フルカラーで想像できる作品が好きです。しかも音付き。最高。..#読書 #読書記録#books #bookstagram#織田作之助#青空文庫そういえば沖縄では金木犀が咲いていない。同僚が「それ花なの。トイレの芳香剤でしか知らない」と言っていて、だいたい本物もそんな感じだけども少し柔らかく風と混じると言ったことがある。そもそも「秋の風」というのもピンとこないかもしれない。住むところの違いですっと想像ができるかどうかが変わる。面白い。