時々空中へ舞ひ上がつてゐる。

好きなものについて考え続け脳内迷子のパラノイア雑記

『星』国木田独歩

「肩に垂るる黒髪(こくはつ)風にゆらぎ昇る旭に全身かがやけば、蒼空をかざしてたてる彼が姿はさながら自由の化身とも見えにき」

もうね。

https://www.instagram.com/p/BtxB5I2hPT3/

この詩人の描写に妄想炸裂(狂)。しみじみ。 ..「都に程近き田舎」に住む若き詩人。ある冬、庭の落ち葉を掃き集め七つに分け、一夜一山ずつたき火をした。詩人の眠る間、立ち上る煙を辿り天の男星女星が逢瀬に降りてきた。火の尽きるまで地上で語り合い、明け方西の空へ帰るようになる。これを知らぬまま最後の火を焚き眠る詩人の室に「今夜をかぎりなれば残り惜しく」礼を言うべく入る二人。詩人の傍に置かれた西詩『わが心高原にあり』の一節”いざさらば雪を戴く高峰”に赤線のひかれたのを見た女星は「心のけだかきことよ」と感涙し、詩人の耳元に口寄せて囁き天に帰る。詩人は「君に見するものありと遠く西の空を指し」消えた乙女の夢を見、「跳ね起きて東雲の空ようやく白きに、独り家を出で丘に登りぬ」。西に輝く二つの小さき星がやがて金色に染まる東の空の光に自ずから消え、地平線上に現れた連山の峰々に戴く淡い雪の色を見た詩人の目から涙があふれる。 ..「詩人は声はり上げて『わが心高原にあり』をうたい、”いざ去らば雪をいただく高峰”の句に至りて、その声ひときわ高く、その目は遠く連山の方を見やりて恋うるがごとく、憤るがごとく、肩に垂るる黒髪風にゆらぎ昇る旭に全身かがやけば、蒼空をかざして立てる彼が姿はさながら自由の化身とも見えにき」 ...『わが心高原にあり』はRobert Burnsの『My Heart’s in the Highland』。独歩の「山林に自由存す」はこの詩に影響を受けたとされています。ところで。「夜と朝のあいだに浮かんだ雲を  青く澄んだ遠いあの山波を  そして真冬のこの町の空を  ふさわしい傷だらけの夜明けに」と歌ったのは宮本浩次。もうね。#読書 #読書記録#books #bookstagram#国木田独歩#robertburns#宮本浩次#青空文庫