時々空中へ舞ひ上がつてゐる。

好きなものについて考え続け脳内迷子のパラノイア雑記

『現代日本文學大系29(筑摩書房)』より『漱石先生と私』中勘助

猫気。←何

https://www.instagram.com/p/BwftC_jhmDz/

『漱石先生と私』中勘助(『現代日本文學大系29』筑摩書房より)こちら、「夏目先生と私」のタイトルのと内容同じかな。.中勘助。『銀の匙』でお馴染み。ご本人のアイデンティティは詩人であったようですが。第一高等学校・東大文学部時代の漱石の教え子。木曜会メンバ。と言ってもあまり木曜には参加せず、中さんの人嫌いな面を漱石が知ってて、面会日以外に来るのもまぁそうですねぇ云々とうやむやに許可されてたまに訪問しては可愛がられたひと。..教師としての漱石先生の様子がこと細かに描かれていてどうもありがとうございます(何謝辞?)。テスト中に見回りしてて、生徒の答案の間違いに気づくと「こんな字はありませんよ。お直しなさい。」て言っちゃうとか。先生優しすぎか。.小宮豊隆や安倍能成、野上豊一郎たちと同級生だったこともあり、卒業後も先生の話をよく耳にしてて。『銀の匙』を書きあげ先生へ送ったとこらへんで、安倍さんと一緒に先生のおうちへ初めて行ったのだとか。その後も安倍さんとはよくつるんでいる印象の中さん。..実は漱石先生の小説にはあまり興味がないひと。『猫』も百頁くらいで投げ出してる。諧謔滑稽が過ぎるって。でも先生が自分の作品を世間に推してくれることにとても感謝していて。先生は面白がって私を変人呼ばわりするけれど、いつも良く言ってくれて、良くしてくれて。.そして、先生が想像している私と実際の私とは少し違うのだけれど、というような記述をいくつもしています。それは共通してどこか寂しげで。もっと自ら胸襟を開いてたくさん自分のことをお話していたらね。ていうか。先生にはぼくの思いを全て「言わずとも」わかってほしいという気持ちがうっすら見えてきて。なんかこう、"ひと嫌いの気まぐれ猫がただひとり心を許している人間なのに、やはり懐くことができずに距離をとってしまう"風味。で、"よしよしお前の好きな鰹節だよ"とやさしく差し出されたのに、"私の好物は秋刀魚だのに"とご機嫌斜めになりながら美味しくいただいている みたいな空気感。いいわーじわじわ来るわー(妄想暴走中)。←吾輩側..久々に先生のお宅へ伺ったら調子が悪いと面会できず、その数日後に重態と聞きお見舞いに行ったがやはりお会いできず、旅行の予定を伸ばし、旅行に発つはずだったその日に小宮から先生ご危篤の知らせを受け、「先生の息のある間に行った最後のもの」となった中さん。..「私は自分の性格からして自分の望むほど先生と親しむことが出来なかった。寧ろ甚だ疎遠であった。私はまた先生の周囲に、また作物の周囲にまま見かけるような偶像崇拝者になることも出来なかった。唯先生は人間嫌いな私にとって最も好きな部類に属する人間の一人であった。そして先生は私の人間とまではいわずとも、私の創作の態度、作物そのものに対して最も同情あり厚意ある人の一人であった」..#読書 #読書記録#books #bookstagram#中勘助#木曜会#夏目漱石#それぞれの愛の形#図書館で借りた本.写真の中の写真と本文とはなんも関係がございません