時々空中へ舞ひ上がつてゐる。

好きなものについて考え続け脳内迷子のパラノイア雑記

『線香花火』中谷宇吉郎

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『線香花火』中谷宇吉郎.先日も紹介しました寺田寅彦の学問の弟子。そう。これ、寅彦先生に巻き込まれたもとい勧められ共同作業した研究テーマの話。.いやぁ、ガチだった。以前紹介した『備忘録』で、線香花火について誰も研究してくんねえなおもろいのに と寅彦氏が愚痴ってたアレです。.「その頃先生はよく新しく卒業して地方の高等学校へ奉職して行く人に、金や設備が無くても出来る実験というものがあるという話をして」、「それ等の実例として挙げられた色々の題目の中には何時も決まって線香花火の問題が一つ含まれていた」。.「火花が初めのうちはいわゆる"松葉"であって、細かく枝分れした爆発的分裂を数段もするのであるが、次第に勢が減ると共に"散り菊"になっていく現象がよほど先生の興味を惹いていたようで」。.毎年四月にこのネタを振られた者たちが、成る程やってみますと出かけていったきり連絡が途絶える というのを数年繰り返し、もう俺がやるとぷんすかしたと。そして居合わせた在学生が捕まった、と。大学あるあるだな...。..夏休み中のある日、Y君と2人で水素爆発の実験してたら寅彦先生が来た。この暑いのに勉強なんてはかどらねえぜどうだい線香花火やらないかい? という悪魔の囁き(違いますよ)にまんまと乗っけられそのまま実験スタート。.初年度は1.燃え方を目視 2.火花を硝子板に乗せ顕微鏡で観察 3.写真に撮り分裂の模様を見る まで。3がどうにも綺麗に撮れねえな というとこで次年度に持ち越し。.2年目の夏。卒業後も大学で寅彦先生の手伝いをしてた中谷氏。夏休み向けの実験なにかないかしらとやってきた東北大の学生に、「丁度良い」と線香花火の写真を見せ。もうこの時点で巻き込む側。そして実験スタート。.1.ひたすら写真を撮る。二週間ほどで良さげなん撮れてきた 2.乾板を回転させ火花の像を結び、火花の速度を測る 3.「火花の射出及び爆発の際のエネルギーの源、即ちその化学変化」を調査する などなどなど。その夏で研究が一段落&一休みとなったそうで。..その後急に外国へ行くことになった中谷氏。ロンドンで受け取った寅彦氏からの手紙が紹介されています。..「線香花火の紹介がベリヒテに出ていますね。"Matuba"Funkenや"Tirigiku"Funkenが欧羅巴迄も通用することと相成り、曙町の狸爺、一人でニヤニヤしている姿を御想像被下度候」。..寅彦先生、発表したんかなこれ。東北大生かな。どちらにしろすげえな。寅彦先生やりきった感満載。..#読書 #読書記録#books #bookstagram#中谷宇吉郎#寺田寅彦#青空文庫.ベリヒテ=ドイツの化学誌Funken=ドイツ語で火花 とのことよ