時々空中へ舞ひ上がつてゐる。

好きなものについて考え続け脳内迷子のパラノイア雑記

『若い芸術家の肖像』ジェイムズ・ジョイス:作 丸谷才一:訳

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『若い芸術家の肖像』ジェイムズ・ジョイス:作 丸谷才一:訳.ええと。芥川龍之介『雑筆』を読んでたらジョイスのこの作品が出てきたので、ついPDF化した自炊本を再読。海外文学もの、娘が生まれる前まで割と読んでたので紙本として残せてないなぁ(娘本スペースを設けるため自炊しまくった2012年の我.龍さん評して曰く「如何にも子供が感じた通りに書いたと云ふ風なり。或は少し感じた通りに書き候と云ふ気味があるかもしれず。されど珍品は珍品なり。こんな文章を書く人は外に一人もあるまい。読んで好いことをしたりと思ふ」。龍さんとしてはベタ褒めだ。いいぞいいぞ。.そして龍さんは『ディイダラス』というタイトルでこの翻訳も試みていて。くっそ岩波の龍さん全集欲しい(未読なのよ)。.『雑筆』は大正9年の作。そのころすでにジョイスを読んでたのな、としみじみ。当時の海外文学が日本へ入って来る流れが気になるなぁ。誰がどう見つけてきたんだろう。『雑筆』自体、龍さんの考えが直でわかる我の好きなタイプの随想です。これはまた今度。..で、ジョイス。ほかの訳の方も拝読してるけれど、丸谷さんのがなんとなく龍さんの思いにより近いかなぁ、と思う。訳者の大人としての目線がまじることなく、人物の成長に伴い語彙力にも成長が見えるというか。.ええと。スティーブン・ディーダラスという芸術家になる男の成長記。←ひとことでざっくり行くよ.もう紹介され尽くしてはいるけれど。ディーダラス=ダイダロスで、ダイダロスはギリシャ神話に出てくる「空を飛んだ」男。ちなみに息子のイカロスは「勇気一つを友にして」という歌でお馴染み。実は共に飛翔しているけれど、イカロスは空を飛べたことでテンションがあがり太陽を目指してしまい、途中で作った翼が溶け命を落としてしまう。.ダイダロスは幽閉された塔からの脱出、飛翔に成功する。スティーブンは自分にかけられた網である宗教、政治、母国からの脱出、飛翔を目指して。.ーーーーーーー四月十六日 彼方へ! 彼方へ!腕と声の魅惑。道の白い腕、その固い抱擁の約束と、月を背景にしてある丈の高い船の黒い腕、彼らの語る遥かな国の物語。腕はさし伸べられ、こう語る。われわれは孤独だ、ゆこう、と。するとそれといっしょに声は言う。われわれはお前の同族だ、と。そして、血族であるぼくが叫びかけられるとき、空気は仲間にみちて濃密になり、出発の用意をととのえ、喜びにあふれる恐しい青春の翼を打ちふるわせる。ーーーーーーー..ああ、また別のこと思い出した。トマス・アクイナスには重い記憶しかねぇ(独白)。.話が逸れたついでに。読んでいていろいろぬぅぅとなることがあって。ええと、勝手に結びつけますよ。龍さんの『歯車』のあの感じは、ジョイスを纏わせている、と。周りの声や言葉からの流れるような連想、彷徨う空想、研ぎ澄まされた感覚の描写。イカロスのことにも言及してて。でも、『歯車』の「僕」はダイダロスではなくイカロスなのです。ね、龍さん。.#読書 #読書記録#books #bookstagram#ジェイムズジョイス#jamesjoyce#丸谷才一#芥川龍之介実は『ユリシーズ』にまだ辿り着けてないのだった。柳瀬尚紀さん訳の(12までだけど)読んでみたい。『フィネガンズ・ウェイク』も柳瀬さんの読んだけど爽やかに失念だぜ。読み直したい〜いろいろこちら方面の思い出すと忙しささらに倍。たくさんの我と我らを統括する我が欲しい。間に合わぬ。#柳瀬尚紀