時々空中へ舞ひ上がつてゐる。

好きなものについて考え続け脳内迷子のパラノイア雑記

『蟲の聲』永井荷風

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『蟲の聲』永井荷風.さて。もうすっかり秋風です。そういえば我は秋の虫の声がとても好きなのですが、誰がどう鳴くのかあまりよく知らないまま生きてきました。先日、娘(小3)から道端で音を聴き「あっ、この虫なんて虫?」と聞かれて答えられませんでした。後で調べて(おそらく)マツムシだと判明。この歳になって、これから新しいことを娘と共に知っていこうとしみじみした次第。今度、鈴虫さんとこ連れていこうかな。..この作品、とても好きなのです。荷風が「何のめづらしさも懐しさをも感じさせなかつた物の音や物の色が、月日の過ぎゆくうちにいつともなく一ツ一ツ消去つて、遂に二度とふたゝび見ることも聞くこともできないと云ふことが、はつきり意識せられる時が來る」と、むかし聞いた音たちを紹介してゆくのだけれど。.とても淡々と、でもその音が今にも聞こえてきそうな描写で。..それから、「この時分」の秋について思いを馳せていて。散りばめられる言葉がとても良くて。凌霄花、夾竹桃、百日紅、驟雨、蜻蛉、蟷螂、燈火の火影、蟋蟀、木犀の薫、路地の芥箱、露時雨、ヴェルレーヌの詩篇、石蕗。.四季の中では秋が一番好きかもしれません。今まで夏が好きだと思っていましたが。そういえば日本の四季について思い返すことが一番多い季節だな、と。しみじみと。.. 「月が出る。月の光は夕日の反映が西の空から消え去らぬ中、早くも深夜に異らぬ光を放ち、どこからともなく漂つてくる木犀の薫が、柔で冷い絹のように人の肌を撫る。このしめやかな、云ふに云はれぬ肉と心の感覺は、目にも見えず耳にも聞えないものにまで、明らかに秋らしい色調を帶びさせて來る。」..#読書 #読書記録#books #bookstagram#永井荷風#青空文庫永井荷風といえば宮本先生です(何)。先生は荷風の全集を持っててすげぇ好きと仰っておられます。我も全集欲しいぃ。