時々空中へ舞ひ上がつてゐる。

好きなものについて考え続け脳内迷子のパラノイア雑記

『年末の一日』芥川龍之介

良いお年を。

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『年末の一日』芥川龍之介.という訳で(どういう訳か)龍さん。年末やし。いや、この話短いけれど何かこう龍さんのことをそんなあれこれ考えんでもええんやでてぎゅってしたくなる話で(狂..龍さんの元に、新聞記者のK君が訪れる。K君から、時間があるなら墓参したいのだがと暇を聞かれた。夏目漱石の墓参りである。K君は漱石先生の愛読者で、いつかお墓を案内してほしいとかねてからお願いされていて。.漱石の命日は12月9日。ここ数年この時期は雑誌の新年号用の原稿執筆に忙しくろくに先生の墓前に参じられていなかった龍さん。連れ立って案内しようとするも、いざ墓地に着くと先生のお墓が見つからない。K君の冷笑に近いものを感じつつ密かに必死に探しながら、苛立ち焦り侘しい気持ちになり、少年時代に餓鬼大将にいじめられしかも泣かずに我慢して家へ帰ったときの心もちまでも思い出す。.結局いくら探しても分からず、墓地を掃除していた女性に尋ねてなんとか辿り着き。九日に手向けられたであろう花と、霜に荒らされている土と、以前よりも古びた墓石。「K君はわざわざ外套を脱ぎ、丁寧にお墓へお時宜した。しかし僕はどう考えても、今更恬然とK君と一しょにお時宜をする勇気は出悪(でにく)かった」。.K君とは帰りの電車で別れ。違う友人を訪ね、日の暮に帰り着こうとしていたら墓地裏の八幡坂の下で箱車を引いた男が休んでいる。箱書を見ると「東京胞衣会社」。声をかけ後ろから押してやる龍さん。「北風は長い坂の上から時々まっ直に吹き下ろしてきた。墓地の樹木もその度にさあっと葉の落ちた梢を鳴らした。僕はこういう薄暗がりの中に妙な興奮を感じながら、まるで僕自身と闘うように一心に箱車を押し続けて行った。......」..胞衣(えな)。胎盤や胎児を包んでいた膜、臍帯などのこと。お産のあとの胞衣を引き取り処分する会社である。水子なども含まれていたようで。龍さんは何を思って箱車の中身を胞衣と設定したのだろう。.産み出されたものと、産み出された後その価値を失ってしまった存在と。僕の世に出した作品と、僕自身の存在価値との闘い、とか。.ね。もー、生きてるだけでとんでもなく凄い価値あることなのに全くご飯いっぱい食べて寝なさいて全力でよしよししたくなるわ。..#読書 #読書記録#books #bookstagram#芥川龍之介#芥川竜之介#青空文庫.てな感じでこれからも妄想キツめな読書感想文と宮本先生観察文をだらだら書いていくかと思われます。お付き合いくださった方々に感謝です。