『幸福はただ私の部屋の中だけに』森茉莉

『幸福はただ私の部屋の中だけに』森茉莉.ええ。影響されぇです。宮本先生の最近よく出るキーワードのひとつ、森茉莉。エッセイ集です。でも実は森茉莉さんの贅沢貧乏という考え方にものすげぇ影響を受けていた我です。数十年前にwebで書いていた日記は贅沢三昧という名前で。細々とした暮らしでも、なんという贅沢な日々なのだと心から思えてたころの話。大学勤務時代は夢のような毎日でした。で、その日記を餌に旦那が釣れたと(贅沢過ぎる釣果)。.まあでも金はないので一度袖を通した服を捨てるとかそんなことはできぬのだけれど。高価なものを持っているとかいうことではなくて、そのひとがどれだけ贅沢な精神を持っているか、てとこ。日々を楽しく過ごす能力、とか。.この方50過ぎてから物書きを始められた方で。ウィキさん拝見したところ、なんでも父ちゃんの作品の著作権が切れて印税収入が見込めなくなって文筆活動を余儀なくされたとかで。もっと早くから書き始めてたらどんな作品があったのかしら　と若きころの感覚描写を見てみたかったと思いました。.ここ数年宮本先生は茉莉さんのことを時折お話されてるのですが、自分の愛する物たちに囲まれた部屋で過ごすとこに共感を覚えていらっしゃるのだろうかと漠然と思ってたのですけどね。あと父ちゃんが鷗外てとこ。それか好きなひとからのオススメとか。先生、今からでも物書き全然いけますよ(何様か)。お時間さえあればですけれど。ぜひ好きな物のご紹介でもよいので。先生は小説いうより随想読みたい。..犀星さんが時々現れたりするのもグッときます。「大変な部屋」より、部屋に置いてある色々な物のうちのひとつとして登場。もうこんなんする男性て(悶絶ーーーーー室生犀星が私に掌を出させ、一つ、一つ、「これが水仙、これが梅」と言いながら、掌の上に落してくれた干菓子が入っているアリナミンの大壜ーーーーーその干菓子は既に壜の中で風化しているのだけれど。取ってあるのね。..「真直ぐの道」より。ホンマそれな一節を。ーーーーー知らない、と言う事これ程恐しい事はない。なにも知らずにいる幸福、そんなものは幸福ではない。何も知らないでいた子供の時、青春の時の自分の幸福を、振り返って恋しがるような事が、なくなっていった。ものを知るという事が人間の一番の幸福なのだと、私は思うようになった。自分の今まで着ていた自惚れの着物も、ぬがなくてはならない時が来た。私は始めて自分というもののほんとうの形を、はっきりと見る事が出来た。私はその今までよりは俄に小さくなった自分を愛し、少しずつ大きく育てて行こうという、楽しい希みを持ち始めた。ーーーーー裸の心で立ち上がるのよ。..#読書 #読書記録#books #bookstagram#森茉莉